ウイルスは,その周囲を膜で囲まれていますが,「1重の膜」の場合と,「2重の膜」の場合とがあります。
①2重膜で囲まれたウイルス
外側の膜は「エンベロープ(Envelope)」と呼ばれ,中側の膜は「カプシド(Capsid)」と呼ばれます。
◎2重膜により囲まれたウイルス: コロナウイルスやインフルエンザウイルス、などのウイルス粒子は,外側を「エンベロープ」,その内側を「カプシド(Capsid)」と呼ばれる膜により囲まれています。
エンベロープウイルスにより囲まれたウイルスは、外側に位置するエンベロープがエタノール等の有機溶剤や石鹸などの界面活性剤に溶けるため,膜構造が破壊されてしまうため,アルコールによる消毒が有効です。これらのウイルスでは,内部のDNAやRNAを守るためは,2重構造が保持されていることが不可欠です。
◎しかし、ノロウイルスはエンベロープを持たないため,アルコール消毒では,効果がありません。従って,次亜塩素酸などを用いることが必要となります。しかし,ノロウイルス患者の吐物,便器を隅々まで,次亜塩素酸(例えば,キッチンハイターなど)で消毒することは,極めて労力を要しますし,そもそも,木製の床などは,痛んでしまいます。
しかし,下記の論文が発表されています。
ヒトノロウイルスがアルコール消毒薬により不活化されることを実証(佐藤研がScientific Reportsに発表)
その論文の重要な部分を引用させて頂きました。
「pHを酸性、もしくはアルカリ性に傾けた消毒用アルコールに、ヒトノロウイルスをほぼ完全に不活化しうる効果があることを確認しました。pHの調整には食品添加物として用いられるクエン酸(市販のレモン果汁でも可)や重曹を用いることができるため、今回の研究成果はアルコール消毒薬の適応範囲を広げる画期的な研究成果であり、抗ヒトノロウイルス活性を持つ手指消毒薬の開発、検証に役立つことが期待されます。」
このように,消毒用アルコールに,レモン汁を混ぜて使用すると,ノロウイルスの消毒に利用できると言うのです。
他の論文も,下記に紹介します。