百日ぜきのワクチン接種

百日ぜきワクチンを含むワクチンの定期接種に関して,年代順にまとめて見ると,下記の如くとなります。

(但し,用いられてきたワクチンは,時代と共に,若干変化してきています。)

  • 1949年からジフテリアのワクチン接種が開始されました。
  • 1958年からジフテリアと百日咳の二種混合ワクチンが接種されました。
  • 1968年から破傷風を加えた三種混合ワクチンが接種されました。
  • 2012年11月からは、三種混合ワクチンと不活化ポリオワクチン(IPV)を混合した四種混合ワクチン(DPT-IPV)が定期接種に導入されました。
  • 2024年4月からは、四種混合ワクチンにヒブワクチンが混合された五種混合ワクチンが導入されました。

これらの時期に,ジフテリアワクチンを含むワクチンを,規約を満たして,従順に受けてきた人は,1回の百日ぜきを含むワクチンを接種するだけで,百日ぜきに対する免疫能が,理論上は,原則として回復します。日本の小児科学会は,下記のホームページの記載の如く,それを勧めています。

勿論,この時の費用は,任意接種ですので,全額自己負担です。

定期予防接種により百日咳の免疫を得ていても、小学校就学前にワクチン効果が薄まるた め、日本小児科学会では任意での3種混合ワクチンの2回追加接種を推奨しています

ところが,全く百日ぜきワクチンを受けてこなかった,高年齢の方は,どうすれば良いのでしょうか。また,1958年から,百日咳のワクチンを受けたといえども,既に70~60年の時が経過し,百日ぜきに対する免疫能など,どの程度残存しているかなど,はなはだ疑問です。

1回でも,遙か昔に,百日ぜきワクチンを受けてきた人に関しては,議論が起こることが予想され,私も返答に窮することになります。なぜなら,ノーベル医学賞を受賞した「利根川進」先生の理論では,ある抗原に関して感作された免疫細胞は,数は時と共に減少するが,必ず,体内に残存することになっています。従いまして,1回だけ,百日ぜきワクチンを接種すれば,70~60年経ても,ブースター効果のため,免疫力は,増加することになります。しかし,70~60年の時が経過し,十分なブースター効果が生ずるかどうかは,甚だ疑問であり,私には分かりません。

しかしながら,1回も百日ぜきワクチンを受けたことのない,初老以降の人達には,ブースター効果など起こりません。

従って,最も簡単なのは,「DPTワクチンを」,4回接種することが必要となります。その際の標準的なワクチン接種スケジュールは下記の如くです。

勿論,任意接種ですから,全額自費負担です。

初回免疫

通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも3〜8週間の間隔で皮下に注射する。

追加免疫

第1回の追加免疫には、通常、初回免疫後6か月以上の間隔をおいて、0.5mLを1回皮下に注射する。以後の追加免疫には、通常、1回0.5mLを皮下に注射する。

また,2024年4月以降、5種混合ワクチン(DPT-IPV)を用いた接種が可能です。

これは,ポリオが,大人でも,外国に渡航した際に,ポリオに罹患する可能性があるためで,下記の厚生労働省のホームページでも,これを勧めています。

大人になり,海外でポリオに感染する可能性もあります。