薬と薬の相互作用の調べ方

薬と薬の相互作用を調べるサイトは,特殊な例外を除くと,日本では下記が唯一と思われます。

(日本の製薬会社の特殊なサイトにもあるとの情報もありますが,一般人の使用は困難の様です。私に関しても,使用経験なし)。

ついでに,薬そのものに対する添付文書等の情報を記載してあるサイトも紹介しておきましょう。

薬の相互作用(Drug Interaction)を調べる海外の英文のサイトは,当然のことながら,多数あるようです。しかし,その使用に関しては,薬の名前を,一般名(学術名)の英語のスペル(spelling)で入力する必要があります。そして,当然のことながら,一定の英語力を有していなくてはなりません。

必要な場合も出てくるかもしれませんので,私が時折使用していて,信頼度が高いように思われる海外の英文で記載されたサイトを,2つほど,下に紹介しておきましょう。

薬と薬の相互作用(Drug Interaction)に関しては,上記の様なインターネットサイトが出現する以前は,自分の有している知識の中で,また時には外来診察の真っ最中,大きな薬理学書を開いて調べ,「大丈夫です」などと答えることが多かった様です。しかし,時は移り,「薬の数は膨大で,星の数ほどになりました」。このような膨大な種類の薬の中の2~3の薬が,相互にどの様な作用を生ずるのかに関して,もはや,どんなに卓越した記憶力と,明晰な頭脳を有する医師や薬剤師でも,「確実な判断は難しい」と言わざるを得ません。この様な話を外来で患者さんにすると,「そりゃあ,そうだ」と納得してくれます。

そして,要望がある患者さんには,インターネットで調べた結果を印刷し,それを患者さんに渡し,納得して頂いています。

ところで,国は医療のインターネット利用(DX化:デジタル・トランスフォーメーションとでも言うのでしょうか?)を早急に推進しています。ある薬と,他の別の薬の相互作用(Drug Interaction)をインターネットを介して調べることも,広い観点で考えると,DX化の1つなのでしょう。従って,医師や薬剤師は,DX化に適応し,インターネットを操り,薬と薬の相互作用(Drug Interaction)の確認に対処しなくてはなりません。

最近,新聞でも報道されましたが,下記の如き事件がありました。

ある医療機関で,高尿酸血症治療薬「フェブリク」(フェブキソスタット)が処方されていました。ところが,その後,別の病気を発症していることが解り,免疫抑制剤「アザニン」(一般名=アザチオプリン)を他の医療機関で処方されました。

両薬剤に関して,担当した調剤薬局には,全ての調剤記録を確認出来る状態であった様です。その時,担当した薬剤師が,結果的には,両薬剤を同時に服用する様な調剤をすることになりました。そのため,患者さんは,重篤な貧血に陥ることになりました。調剤した薬局の管理薬剤師らが訴えられ,法廷に持ち込まれ,医療訴訟に発展し,多額の賠償金を支払うことになったと聞いています。この事件は,医療関係者ならば,おそらく,耳にしたことがある話でしょうし,新聞などに於いても報道されています。

裁判の詳細は,私には分かりませんが,担当した薬剤師が,「フェブリク」「アザニン」の同時内服に関して,有害事象が生ずることを知らなかった可能性が考えられます。もう1つの可能性は,そのような知識を有してはいましたが,調剤記録の隅々を観察せず(忙しいときには,起こりうる可能性はあるとおもわれます),「フェブリク」「アザニン」の同時内服を認めて,調剤を行ってしまったという可能性もあります。おそらく,調剤記録を,目視で確認したのでしょうが,短時間の間に行われ,確認から漏れてしまったのかもしれません。ただ,ことの詳細は,裁判関係者でないため,不明です。

¶ 追加説明フェブリクは,高尿酸血症に極めて有効な薬なのですが(実は,私も現時点で内服中ですが,どう対処するのかに関しては,現在検討中),幾つかの他の薬剤との相互作用により,高度の有害事象(ないしは死亡)を生ずる,要注意な薬剤です。この点に関しては,別稿を設け,説明させて頂きます。さくらクリニックでは,フェブリクを処方する際には,必ず,「薬と薬の相互作用を調べるサイト」で確認いたしております。

フェブリクは,高尿酸血症に極めて有効ですが,別の視点から考えると,その使い方を間違えると,大なる危険性を内在した薬剤です。

多くの医師が,「マイナンバーカード反対,保険証を残そう」ともっともらしい理由を幾つも挙げて,DX化に反対の主張していますが,私には,理解ができない事態です。屁理屈としてしか認識出来ません。

さくらクリニックに通ってきてい患者さんの1人は,マイナンバーカードの作成に従事しているエンジニアです。「マイナンバーカードは素晴らしいカードです」と,その有益性・正当性を私に訴えています。将来的には,患者さんが通院している複数の医療機関の処方薬のDrug Interactionも,調べられる機能も備える様です。

たしかし,医療のDX化の過程では,時には壁にぶつかり,その部分をやり直すということは,あって欲しくない事態ですが,エンジニアが懸命に努力しても,不可抗力で起こる可能性が考えられます。

それを幾つも乗り越えて,始めて,医療の真のDX化が進行すると考えています。

このような,薬の相互作用(Drug Interaction)に関連した,生じてはならない不幸な事態を防ぐためには,薬と薬の相互作用を調べるサイトなどを活用することが必要と思われます。さらには,医療のDX化を勧めて,コンピューターの力で,自動的に,このような調剤の流出を食い止めるべき仕組みを構築すべきかと思います(マイナンバーカード関連のDX化の流れの中で,現在進行中の様です)。

上記に述べた医療訴訟に関連する裁判では,「フェブリク」と「アザニン」の2種類の薬の同時内服を,薬剤師が認めてしまったことが原因です。

いとも簡単に,「フェブリク」と「アザニン」の2種類の薬を同時に服用してはいけないこと,すなわち「併用禁忌」であることが,判明することになります。

このサイトで調べておけば,全てが平穏無事に終わることになります。