欧米諸国で医療を受けるためには,「英文診断書」を保有していることが望まれます。

欧米を初め,諸外国でしばらく滞在するときには,英文の診断書を身近において置く様にしましょう。その人の罹患している疾患名,既往歴,治療歴,現在服薬している薬のリスト,アレルギーの有無,副作用が生じた薬品の名前,ワクチン接種の状況などが,英文で記載されていることが望まれます。また,その診断書の記載を行った医師のmail addressなどの記載が含まれていることが望ましい。

医師法第19条に、医師の「応召義務」が規定されており、診療に
従事する医師は、正当な事由がなければ患者からの診療の求めを拒んではならない
とされています。

ところが,この「応召義務」は,欧米の多くの国では存在しません。

勿論,日本人が,欧米の国々で,交通事故で重症を負った場合,また,おそらく心筋梗塞や脳卒中を発症した場合には,それなりの人道的な処置が取られ,医療を受けることが出来るのではなかろうかと思います。

ところが,日本で痛風の治療を受けていた患者が,欧米で痛風発作を発症いたとしましょう。そして,殆ど英語が話せない場合を考えましょう。医療機関を受診することは出来ますが,英語が殆ど話せない場合,相手の医師は,患者の状態を把握することが難しい状態にあります。欧米の医師に「応召義務」など,ありません。むしろ,患者の状態を十分に把握した上で治療を行うことが義務付けられています。従って,医師は,上記の痛風患者の診療を,堂々と拒否することが出来ます。これは,私が受け持っていた痛風の患者さんから聞いた,実際に生じた事態です。