予防接種の接種日の計算法

¶ 年齢の数え方は,分かっているようで,時々勘違いを生じます。

小児科の先生は当然十分に会得している様ですが,内科医の私は,時折混乱することがあり,下表を見ながら考えています。ご両親の方々も,下表を参考に考えた方が間違いが少なくなります。

0歳 0ヶ月2歳 0ヶ月3歳 0ヶ月4歳 0ヶ月
0歳 1ヶ月 2歳 1ヶ月3歳 1ヶ月4歳 1ヶ月
0歳 2ヶ月2歳 2ヶ月3歳 2ヶ月4歳 2ヶ月
0歳 3ヶ月2歳 3ヶ月3歳 3ヶ月4歳 3ヶ月
0歳 4ヶ月2歳 4ヶ月3歳 4ヶ月4歳 4ヶ月
0歳 5ヶ月2歳 5ヶ月3歳 5ヶ月4歳 5ヶ月
0歳 6ヶ月2歳 6ヶ月3歳 6ヶ月4歳 6ヶ月
0歳 7ヶ月2歳 7ヶ月3歳 7ヶ月4歳 7ヶ月
0歳 8ヶ月2歳 8ヶ月3歳 8ヶ月4歳 8ヶ月
0歳 9ヶ月2歳 9ヶ月3歳 9ヶ月4歳 9ヶ月
0歳 10ヶ月2歳 10ヶ月3歳 10ヶ月4歳 10ヶ月
0歳 11ヶ月2歳 11ヶ月3歳 11ヶ月4歳 11ヶ月

¶ 翌年の誕生日の前日の深夜の24時に,1歳年を取ると考える事になります。

例えば,令和4年3月4日に生まれた人であれば,令和5年3月3日の深夜の24時をもって1歳に達したと考えます。言い換えると,3月4日の午前0時(=3月3日の深夜の24時)からは,1歳ということになります。

令和4年3月4日に生まれた人であれば,「1歳に至るまで(till, untile)の間」すなわち「0歳」とは,誕生日の前日の深夜の24時(3月3日とも,3月4日とも考えられる時刻)に1歳年を取ることになりますので,令和5年3月3日の深夜の24時のほんの瞬時の前までは「1歳に至るまで(till, untile)の間」,すなわち「0歳」に含まれます。しかし,令和5年3月4日の午前0時の時点では,既に「1歳」になっていますので,「1歳に至るまで(till, untile)の間」すなわち「0歳」には含まれません。

詳細は下記をご覧ください。

定期の予防接種における対象者の解釈について(厚生労働省)

上記のサイトですが,開くのに時間がかかることがあるためプルダウン・メニューの「定期の予防接種における対象者の解釈について(事務連絡)」において,Acrobatに変換し,掲載してあります。

上記の厚生労働省のホームページの文章を読んで見ると分かりますが,解釈が難しいのです。「役人の書いた文章」の典型例とも言える文章です。従って,一般人が時間をかけず,斜めに読むと,読む人それぞれに,別個の解釈をしてしまっても,不思議はありません。

例えば,BCG接種は「12ヶ月未満に接種」すると定められています。このような場合には,1歳の誕生日の前日に接種する様なことは避け,「12ヶ月未」に相当する,1歳の誕生日の数日前までに接種を受ける様にしましょう。

¶「何ヶ月後」の解釈

さらに問題となるのが,「3ヶ月後」などの解釈です。1月は,28日,29日,30日,31日の4種類から構成されています。このような場合の例として「1月15日の3日月後」はどうなるかというと,1ヶ月後は「2月15日」であり,2ヶ月後は「3月15日であり」,3ヶ月後は,4月15日にあたります。

上記のサイト「定期の予防接種における対象者の解釈について(厚生労働省)」の中には,1例を挙げると,下記の如き記載(赤字部分)があります。

『●歳に至った日』の考え方

誕生日の前日(24時)に1歳年を取ると考えますので,平成25年4月1日生まれの人であれば,『1歳に至った日』は,『平成26年3月31日』を指します。

私流に考えると,これ,少々理解に苦しみます。「誕生日の前日(24時)」は,とりもなおさず,「誕生日の午前0時」です。その境目の瞬間の時刻を「前日の深夜の24時」と考えるより,「当日の午前0時」と言う方が一般的の様に思われます。

平成25年4月1日の午前11時00分に生まれた人は,『平成26年3月31日』の「深夜の24時」においては,いまだ1年間生存していないのです。(閏年が介在していない場合の話ですが・・・。そもそも,1年間は,365日のことも,366日のこともあります。)

従って,個人的には,『1歳に至った日』は,『平成26年4月1日』と解釈する方が自然の様に思われます。

但し,この規約の作成を担当した人達も,このような議論がでることは十二分に承知していたはずです。しかしながら,何らかの規則を決めてしまわないと,様々な問題が生ずることは明らかです。従って,この規則は,混乱を生じさせないためには,必要不可欠な存在なのです。

日本という法治国家が定めた規則ですから,それに従う以外に道はありません。

¶ もしも,予防接種間隔で迷ったら,下記のサイトを参照してください。私も,愛用しています。サイトの使用法は,そのサイト内に説明書がありますので,参照してください。

ワクチン計算のサイト(名鉄病院)

¶ 最近は,調布市の助成が始まったため,帯状疱疹ワクチンのシングリックスの接種の希望をする人が増えています。

シングリックスの接種は2回であり,「初回の接種から,2ヶ月以上を経た時点で2回目の接種を受ける」とされています。従って「9月4日に第1回目の接種を受けた場合」,2回目の接種は「11月4日」に受けることが可能です。

しかし,誰が見ても明らかに2ヶ月後である,「11月5~6日以降」に来院いただいた方が,さくらクリニックとしては,安心して接種ができます。ワクチン接種は,法律で規定されていますから,医学的は大して問題がないのにも係わらず,役人が「ダメ」と言えば,私は「始末書」を書かなくてはなりません。よろしくお願い致します。

例えば,「11月3日の深夜の24時」に2ヶ月後になりますので,それを拡張解釈して,11月3日の午後3時に来院していただいても,接種はいたしかねます。

誰が見ても明らかに2ヶ月後に来院していただくよう,御願いします。